HOW TO PICK UP A FLY with chopsticks

厳密に言うならば、僕らに現在は見えない。水晶体にそそがれた世界が網膜を抜け、ひと筋のパルスとなって脳の中枢に流れこむそのときまで、僕らは盲いているのだ。自分が見ているのは過去であること。それをしっかりと心に戒めよう。まずは、宙に刻まれた過去の軌道をなぞる。そのまま、静かに箸をとり、来るべき必然の一点をひとつまみ。ほら、これで一匹。決して、現在をつかまえようなどと思ってはいけないよ。