2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ベストパートナー

駅前のファーストフードでホットドッグをほおばっていると、ガラス越しのテラス席にサラリーマンらしき男があらわれた。緑のトレイには灰皿とコーヒー。ランチタイムというにはもう遅いし、出先でひと休みといったところなのだろうな、と想像する。ちょうど…

習慣

昼頃に目を覚ます。雨もすっかり上がっていたので、緑を窓辺に出してやる。白い手すりの格子に鉢植を載せ、ステンレス製の計量カップで水をそそぐ。べつに計量カップに特別な意味があるわけではなく、もちろん正確な分量を計っているとかそういうことでもな…

厄介な問題

行きつけの理容室が店を閉めることになった。 外出ついでに訪ねてみると、いつものガラス扉に見慣れない貼り紙があり、この4月で閉店することが感謝の言葉とともに記されていた。学生のころから通っているので、もう8年ほどになるだろうか。ああ、まいったな…

ネコが逃げた

先日、駅前のスーパーに向かって歩いていたときのこと。僕の少し先をネコが歩いていた。べつにとりたててネコが好きというわけではないけれど、あの生きものの佇まいにはどことなく心惹かれるものがある(それから僕は犬っぽい犬を見るのが好きだ。この話は…

円い罠

直線的な時間を生きているような気になっているけれど、僕らをとりまく時間の概念は円環的なものが多い。暦は12ヵ月でひとめぐりだし、干支もぐるりとまわって子にもどる。それは、時間というものが天体の動きをもとに発想されてきたせいかもしれない。東の…

通勤

めずらしく通勤時間帯に家を出る。電車はひと駅ごとにドアが開き、溜息のような音とともに僕らはホームを行きつ戻りつする。波間に揺られる貝殻のような気分、なんていう比喩はあまりに少女趣味かもしれない。でも、いずれ潮のうねりに連れ去られていく僕ら…

untouchable

多摩川沿いを自転車で走る。平日にのうのうとサイクリングを楽しめる身分にうしろめたさを感じないわけではないけれど、そんな焦りも春風に流されてどこかへ行ってしまう。川岸には桜の木がいくつも植えられていて、風が吹くたびに花びらが雪のように散って…