ある装置

月並みな話で申しわけないのだけれど、給水塔のある風景が好きだ。たとえば、夕暮れどき、集合住宅の屋上。あの妙に思わせぶりな空の余韻に、くすんだクリーム色の球体や立方体が浮かびあがったところとか。あまりに見つめすぎると怪しまれてしまうので、歩きながらぼんやりと眺める。そしてなんとなく、キレイだな、とか、最近の僕はいったいどうなんだろう、と思ったりする。しんみりすることが多い。この風景をしんみりする装置としてとらえてみようか。いや、捉えてどうしようというんだ。そんなことを頭にぐるぐるめぐらせながら帰ってきた。仕事が早く終わったから泳ぎに行こうと思っていたのに、今日はプールが休みだった。蒸し風呂のような部屋の中で、少し筋トレをしてみた。